【番外編】元アメフトトレーナーとして思うこと

いつも当院のブログをご覧いただきありがとうございます

今日は、完全に番外編です。美容には全く関係ないことで申し訳ありません

ただ、ここ数日、メディアで大きく取り上げられている問題についてどこかで私の思っていることを発信したいな、と思っただけですので、ご興味のある方にお目を通していただければ幸いです。

タイトル通り、今回のアメリカンフットボールのラフプレー(ルールを無視した危険なプレー)問題について、私はとても心を痛めております。

私は、大学時代の6年間をアメリカンフットボール部のマネージャー兼トレーナーとして活動していました(ちなみに今回のブログの表紙画像は私が在学していたころのチームです。今はユニフォームが変わっているそうです)。

今でもアメフトを見るのは好きで、たまにですが、冬の甲子園ボウルを観戦しに行ったりしています。BSでNFL(本場アメリカのプロフットボールリーグ)の試合を観たりもします。

なので、ルールや、チームとしての雰囲気、選手の試合にかける気持ち、アメフトとはどういう競技なのかということも、おそらく普通には理解しているつもりでいます。

今回問題となっている被害者側の関西学院大学(かんせいがくいん、と読みます。ローマ字ではKwansei Gakuin、通称KGです)とは、同じ西宮市内のチームであることと、私の母校のチームの監督がKGの鳥内監督と面識があったことなどから、合同練習もしたことがあります(もちろん、実力はけた違いでKGからすればうちは小学生リーグ級だったでしょうし、部員数も10倍くらいおられたので、練習中、うちのチームのプレーヤーを探すのが大変なくらいでした)。

一方の日本大学も、東西大学アメフトの頂点を競う甲子園ボウルの常連校で、私がここ最近観戦に行った甲子園ボウルは立命館大学VS日本大学でした。

非常にトリッキーで華やかなプレーが多かった印象があります。

さて、今回問題となっているラフプレーについて。

何度か反則を重ねたうえでの最後の「殺人タックル」と呼ばれているプレーですが、あれは非常に危険です。

アメフトの防具は10kgくらいの重さがあります。ヘルメットだけでも相当な重さです。

その上で(そうでなくとも)、あの倒れ方は、本当に命に関わる、あるいは四肢麻痺などの大きな後遺症を残してもおかしくありません。膝の打撲だけで済んだ(でもやはり下半身に少し痺れがあるそうです)のは、ひとえに倒されたQB(クォーターバック)選手のトレーニングの賜物だと思います。

最初にこの件が明るみに出た時、監督から選手にラフプレーの指示があったのかという関学側の質問に対する日大側の回答は「監督・コーチサイドの伝え方と選手とのとらえ方に乖離があった」というものでした。

ぶっちゃけて言うと、「相手選手をつぶせ」「QBを倒せ」と檄を飛ばすのはよくあることです。NFLのサイドライン中継ではあまりにもコーチ、監督が過激な言葉で選手を叱咤するため、ピー音が流れます。ただ、あくまでそれは「~くらいのつもりでいけ」「ルールの範囲内で全力をかけろ」というのが大前提です。

QBがボールを投げる前にディフェンス側がQBにタックルしてパスを阻止するQBサックというプレーがあります。これはもちろんルールを守った前提で行われるプレーですが、オフェンス側(攻撃側)にとってはかなり屈辱的であり、またディフェンス側(守備側)にとっては大きな好プレーとして評価を受けます。NFLのQBのプロフィールには、これまでに何度サックを受けたか、ということが毎回明記されますが、それを見るとそのチームの弱点が見えてくるくらいの大きなポイントとなります。

なので、ディフェンス側の選手は虎視眈々とQBサックを狙うものです。

しかし、当然今回の日大のプレーはそれとはまったく関係のないもので、ルールを完全に無視した危険プレーであることはアメフトを知らない人がみても一目瞭然、「この選手、ルール知らないんじゃないの?」と本気で疑ってしまいます。

私も今回の件の第1報を見た時は、「いくら潰しにいけって言われても、これは無いわ・・・素人か、この人?」と思ってしまいましたが、その選手は全日本代表にも選出されるくらいの名プレーヤーであったことを受け、「ん???なんかあったのか?」と疑問に思うようになりました。

そしてだんだんと詳細が明るみになり、ついに本人が記者会見を開くまでの事態となってしまいました。

その内容を見て、私は日大への憤りのあまり、涙を流してしまいました。

どうして、大学は、チームはそこまであのプレーヤーを追い詰めてしまったのか?

なぜ守ってあげられなかったのか?

一選手生命を捨てさせるまで彼を利用しようとしていたのか?

これまで彼はどんな思いでアメフトに取り組んできたのか、どんなに必死な思いでひと試合ひと試合にかけてきたのか・・・

まだ20歳で、これまでの人生の中で、彼にとってアメフトは非常に大きなウェイトを占めるものだったことに違いありません。

それをこんな形で終わらせてしまうことに、日大は誰も何も思わなかったのかと思うとスポーツマンシップのかけらも感じられることなく、ただ悲しく、腹立たしい思いでいっぱいです。

私はマネージャー、トレーナー、それから医師として、これからの彼の精神状態を心から心配しています。

ネットで匿名、言いたい放題の今、アメフトをよく知らない人や興味本位でこの事態を見ている人から、たくさんの心無い言葉を浴びせられるでしょう。

それを見て、日大のほかのプレーヤーや、KGのプレーヤーたちはどう思うのか。

日本だけでなく世界の中でアメフトというスポーツがどうとらえられていくのか。

毎日胸を締め付けられる思いです。

今日は、美容医療の黒田ではなく、元アメフトトレーナーの吉田でした。

長文、失礼いたしました。